建物の資産価値が認識されれば(08.03.13)
ダイヤモンド社のビジネス情報サイト“ダイヤモンド・オンライン”に、日本の不動産・住宅事情のあるべき姿について、金融という視点から考察した記事が掲載されました。
◇“住宅は使い捨て”の日本は「ストック型住社会」に変われるか
2008年03月12日 辻広雅文(ダイヤモンド社論説委員)
米国の金融機関の住宅資産査定は厳格この上ない。借り手は、新築であっても中古であっても購入に際しては、第三者機関の鑑定評価取得が義務付けられる。
その審査たるや、修繕の履歴データをもとにした“家歴”の把握と、専門家による耐久性、耐震性、ユーザビリティなどの現物の徹底チェックである。
要は、何世代にもわたって住める優良住宅が融資対象になり、安普請にはカネを貸さないのだ。一方、借り手も資産価値を下げないために時々に補修を行い、維持管理に神経を使う。好条件で、転売するためである。
この好循環によって、中古住宅市場が発達した。人びとは、買いたい物件と売りたい物件の買価格差をそれほど心配せず、耐久性、耐震性を懸念せず、自分のライフステージに合わせて転居できる。住宅が重要な社会資本として構築された「ストック型住社会」である。
日本の現状はどうか。政府は供給数を優先し、私たちは安普請を使い捨てにし、未だ戦後住宅政策から脱却できずにいる。すぐに壊してしまうから、住宅流通における中古物件の比率は、1割に過ぎない。戦後、どれだけの膨大な資金を投下し、社会資本を無駄にしてきたのだろう。
日本の金融機関は、欧米のように新築にしろ中古にしろ、現物査定などしない。住宅価格の変動情報を提供するシステムも皆無である。――私たちは、こうしたことをごく当たり前のことと思い込んでいて、疑問に感じない。これこそが、世界第二位の経済大国に住みながら、豊かさを実感できない大きな原因である。
(記事概要、一部抜粋)
資産価値が高い住宅(建物)と中古住宅流通の促進が、いかに消費者にとって望ましいか。記事では、住宅ローンを取り扱う金融機関側からの視点から書き始められているが、これからの住宅事情のあるべき姿を提示している。
日本の住宅購入では、永住、終の棲家的な発想が強く、独身から始まり新婚、乳幼児からの子育て期、子供が中学・高校・大学生頃の教育期、子供が巣立った後の余生など、その時々で最適な住まいも地域も違うにも関わらず、すべての状況に合わせようとするので、住まい探しは難しくなる。
ライフスタイルや家族などの移り変わる状況により、その時々に適した住まいに住み替えていくという社会になれば、住まいや地域に求めるものが単純明快になり、住まい探しがしやすくなる。
家計の面で見ても、永年雇用などの安定した労働市場が崩れ、将来の収入に対するリスクが高くなってきた今、資産価値が維持される質の高い建物であること、そして適正な評価がされる中古住宅流通になれば、住宅ローン返済のリスクが売却という要素でもカバーできる。
また、中古住宅を購入するという選択肢ができることにより、低負担での住宅取得→住宅ローン返済負担の軽減にも繋がり、家計の安定化、余暇を含めた人生の充実にも繋がる。
これを実現するためには、質の低い住宅が淘汰され、中古住宅への抵抗感が減り、流通市場が整備される必要がある。また、大きくは環境問題にも貢献でき、欠陥住宅被害なども減少する。
政府は住生活基本法と具体的な形としての200年住宅を打ち出して取り組み始めました。これが浸透するためには、不動産業者やハウスメーカー、金融関係などに、消費者も含めて、国全体が大きく変わらなければならない。
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