200年住宅(続:解説)(08.03.04)
本年4月頃、自民党より住宅資産価値の向上・環境対策などを目的とした 新しい住宅のあり方として“200年住宅”というビジョンが打ち出されました。
この概略が発表されたとき、私なりに住宅資産に対して思うことと、 話題程度の簡略した内容で書きました。 その後、安倍前総理の突然の退任後、200年住宅のとりまとめをしている 福田氏が総理になったことから注目を浴びた。 以前書いたコラムにアクセスが多くなったが、 その内容が乏しかったので、今回もうちょっとだけ詳しくご紹介します。
200年住宅の根本には、住生活基本法があります。 住生活基本法では、住生活の安定の確保及び向上の促進を目指し、 1.安全、安心で良質な住宅ストック、居住環境の形成、 2.住宅の取引の適正化、流通の円滑化のための住宅市場の整備、 3.住宅困窮者に対する住宅セーフティネットの構築を柱としています。
この法案の基本は“量から質への転換”にあります。 すでに、住宅ストックは充分にあり、 新築の分譲住宅やマンションを大「量」供給する時代は終わった。 これからは、良質な住宅の供給に主眼を置くことになります。
住生活基本法の1の“住宅の質の向上”をより具体的にしたものです。 前回のコラムでも書きましたが、200年という数字うんぬんよりも、 資産価値を高く長期に保てるという部分に対し、 消費者も供給者も意識を変えることが大切になります。
200年住宅を実現するに向けて12の政策提言が出されています。(自民党:200年住宅ビジョン参照)
1.超長期住宅ガイドラインの策定
2.家歴書の整備
3.分譲マンションに対して、新たな管理方式・権利設定方式を構築する
4.リフォーム支援体制の整備、長期修繕計画等の策定、リフォームローンの充実
5.既存住宅の性能・品質に関する情報提供の充実
6.既存住宅の取り引きに関する情報提供の充実
7.住み替え・二地域居住の支援体制の整備、住み替えを支援する住宅ローンの枠組み整備
8.スケルトン・インフィル住宅を支援するための住宅金融などの枠組み整備
9.リバース・モーゲージが提供される仕組みの構築
10.200年住宅における税負担の軽減
11.200年住宅の実現・普及に向けた先導的モデル事業の実施
12.良好な街並みの形成・維持
200年住宅ビジョンの各提言の詳細はこちら(PDF)
この提言では、建物の長期耐用に関するハード面だけではなく、 中古住宅の流通やローン・税金、街並みなどの外部にまでも及んでいます。
単純に建物の耐久性を高めるということに関しては、 以前より住宅金融公庫などの後押しを含めて取り組んでおりました。 今回は、抜本的な取り組みとして、住宅を取り巻く部分にまで 一体とした提言になっているのが特徴的だと言えるでしょう。
またまた私見ですが、急がば回れというように、 200年住宅(=超長期耐用建築)を実現させるためには、 中古住宅流通の整備による資産としての安心感を持たせ、 消費者(≒供給者)の意識を、ちょっと建築コストが高くなっても 資産価値がある建物にしようと向けることが近道と考えます。
極端な例ですが、年金などの社会保障が不安なため、 貯蓄や投資に向い経済規模が拡大しない・政治に対しての 不信感や無力感が出てしまう意識と同じで、不安があるものに対し、 コストをかけるという勇気・意識は植え付けられないのではということです。
今までの住宅に関する政策は、税制に対してのものが多く、 今回も同様の動き出しをしました。 とりあえず目先のお得感で釣り上げようという感じにも思えますが、 税制でも、抜本的・長期的な改革が必要だと思います。 期限付きではない住宅税制、自宅用の住宅ローンの利息分の 税額控除や消費税の軽減などが必要かと。
どこまで実現するのか、いつ実現するのかは、まだまだ未知数ですが、 これからの住宅市場の流れとして、質の高い住宅が適正の評価を受け流通する。 そのための後押しをする政策・税制やサービスが充実していくのは間違いないでしょう。 今、購入する方は、この流れを見て動かれることを望みます。
不動産市場は、相場があり、理屈ではない部分も多く含まれる。 このビジョンだけではないですが、世の流れ、 一般的な意識から外れると評価は低くなるのが常です。 人口減の時代、家あまりの時代、弱いもの、価値の低いものから 負けていくことになります。
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