実名(商品名)が小説に登場(07.10.02)
直木賞の他、数多くの文学賞を受賞している宮部みゆきさんが8月に刊行した“楽園”を読んでいたところ、「おぉ!?」とビックリしてしまった一節がございました。
まずは、そのビックリした一節をご紹介します。
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「千住鳥居町」・・普通乗用車が一台かろうじて通れる・・ぐらいの道幅の左右に、色も形もとりどりなら、新旧も入り混じった住宅が建ち並ぶ中なか、そこだけ削ぎ取られたように土地が剥き出しになっているところがあった。
あの火災で焼けた家々の跡だ。
・・
ほぼ百六十平米を焼いたというが、今現在更地になっているところの広さは、それよりももう少し広いのだろう。・・
土地はだいたい横長の長方形だが・・。この中に五軒の家が建っていたわけだが、どういう配置になっていたのか、ちょっとしたパズルだ。こういうことも、下町の古い住宅地では珍しい話ではない。
・・に面している隣家は、三階建て、チョコレートブラウンの外壁のヘーベルハウスだ。築浅の感じがする。土地の境界線は斜線だが、ヘーベルハウスはきっちり四角いので、土地の「余り」ができている。そこに自転車が二台、壁に沿うように停められていた。
・・
・・ヘーベルハウスの家のドアが開いた。・・。と、大きなベビーカーが半分ほどのぞき、・・。双子だ。・・。「あ、おじいちゃん!帽子!」。・・の娘さんで、双子のお母さんだろう。
・・
「うちが建て替えるとき、工務店さんが言ってたんですよ。お隣が古い木造だから、火が出たら危ないよって。うちも最初は、木造の三階建てにするつもりだったんです。けど、それじゃヤバイよって。だからこういう形で、一応は防火建築に」
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この一節を読んで、何をビックリって、“ヘーベルハウス”という実名が出てきたこと。(おそらく)登録商標になっているだろう商品名が、まさか、直木賞の受賞歴がある作家の著作に出てくるとは。
商売人の私はすぐに厭らしい計算です。直木賞を受賞した作家、それもテレビドラマ化された“模倣犯”の続編という位置づけなので、かなりの部数が販売される。※登場人物や前作の内容は登場しますが、ストーリーは別。
さらに、下町の住宅密集地、狭小敷地の有効利用、三階建て、二世帯住宅、防火建築など、四角いというのが売りかは分かりませんが、ヘーベルハウスの特徴・セールスポイントを、これ以上ないと思われるくらいに表現しています。
これは相当お金を積んだか、作家を何かしらのバックアップしているのか。と、私は皮算用をしてしまいました。
しかし、宮部みゆきクラスであれば、お金に困っているとは思えず、また、どの著作でもですが、ましてや大きな位置づけになるこの著作で宣伝するとはとても考えられない。
また、ヘーベルハウス側も広告ということであれば、少しは宣伝や営業活動に使いそうなものですが、その形跡はまったくない。10人以上の営業マンに聞いてみても、誰も小説に取り上げられていることを知らないことからも、何も裏がないことを感じられる。
ここまでの状況になると、ヘーベルハウスという“ブランド”に驚愕です。ヘーベルハウスがどうこうではなく、ブランドの力にです。感覚的な認識なのでしょうが、いち商品名が、世間一般に特徴を理解され、こうなら→この商品名という連想をさせる力、これがブランドなのですね。
同じ旭化成関係ならサランラップ。テレビ・映画で有名なのは宅急便。日本マクドナルドの創業者である藤田田氏は、子供が「ハンバーガーを食べたい」というべきところを、「マクドナルドを食べたい」と言ったのを聞いて、ここまで浸透したかと感慨深げに言ったそうです。
・狭小敷地、二世帯住宅、三階建て、防火建築ならヘーベルハウス
・食品のラップならサランラップ
・宅配便なら宅急便
・ハンバーガーならマクドナルド
と世間一般に言葉を変えても=で通じるまでのブランド。
不動産と住宅ローンの相談なら“プレシーク”とそのネットワークと言われるくらいのブランドになりたいですね。そのためには、個々のお客様への対応で信頼をひとつひとつ積み上げていくしかありません。
最後に、小説を読んでいますと、地名を「A県」とか「B市」という表記されているのを多く見かけます。また、人物名を「A氏」「B氏」というのも。人物名は実名を使うわけにはいかないでしょうが、地名は実在する地名を使ってもらいたいと思っています。具体的な場所が特定されてしまうまでの表記とまでは言いませんが、A県やB市では、読んでいてイメージを作りづらい。この点に関して、今回の著作では、“船山市”という船橋と市川を混ぜて変換したような地名以外は、ほとんど実際にある地名を使っていたことがよかったです。
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